撮影距離はおよそ75cm程度です。最後の2つ(右下2コマ)は、一方は「マクロモードを ON」にした場合、 もう一方は「ナチュラルフォトモード」で撮っています。
1/15秒の謎 スローシンクロ撮影というのは、ストロボ未使用の状態で露出を決めた後に、発光を加えたような撮影に なります。(実態はもう少し複雑なようです。メーカーの考え方にもよります。) ですから、絞り値が同じ(F2.8)で感度がそれぞれ異なるなら、本来は、シャッター速度がそれぞれに異 なっていないといけません。ですが今回の撮影では、ISO 1600が1/20秒以外は、一律 1/15 秒で下げ止まっ てしまっています。実は、これはF10の仕様です。ちゃんとした意味があります。一般的な家庭の用途では、 手持ち撮影で使われる事が多いので、ブレが目立たないように 1/15 秒以下にならないように規制している ようです。 このテクニックは、ベテランの間ではよく使われる手法です。私は勝手に「擬似スローシンクロ」と呼んで います。マニュアル露出で、絞りとシャッター速度を適当に決め(経験に基く)、主要被写体の露出はスト ロボの発光制御に任せてしまいます。発光自体は、被写体からの反射光で自動制御されるので、被写体は 概ね適正露出になります。(カメラの調光システムによります。) ストロボ光が十分に届かない背景は、環境光と僅かなストロボ光の合計分です。僅かなストロボ光でも、 何も無いよりはマシといった状況を想定しています。背景の露出自体は、撮影者が決めた 感度、絞り、 シャッター速度に依存します。(背景が遠い時は、ストロボ光はほぼ皆無です。)
要 約(擬似スローシンクロ) 私が言うところの「擬似スローシンクロ」は、 絞りを目一杯開いておき、シャッター速度は手ブレ限界まで遅くしておき、主要被写体の露出は ストロボの自動制御に委ね、背景はそれらのもとでの成り行きに任せて明るさを確保するわけです。 もともと、背景に関しては、露出不足の状況で無理やり撮るわけですから、間違っても露出オーバーには なりません。「被写体だけしっかり写せれば、背景は成り行きで結果オ〜ライ!」が、擬似スローシンクロの 基本的な考え方です。(高感度が使えるカメラほど、成り行きでの結果が良くなります。)
高感度が使えないカメラは? 高感度が使えないコンパクトデジタルではどうすれば良いのでしょうか? カメラにもよりますが、スローシャッターでスローシンクロができるカメラなら、三脚を使えば、 低感度でも綺麗に撮れます。被写体に動かないようにしてもらえれば、1/4秒ぐらいのシャッター 速度でもブレが目立たないと思います。ストロボ光はシャッター速度に対して、一瞬の閃光なので、 光源のほとんどがストロボ光である被写体においては、高速シャッターと同等の静止作用が見込めるためです。 高感度が使えないカメラでは、三脚を積極的に利用する事をお薦めします。 F10でもこの方法は有効です。「夜景モード」で スローシンクロして見てください。 「夜景モード」では、シャッター速度の下げ止まりが3秒まで緩和されます。正当派のスローシンクロ(^^;) が できるので、よりノイズの少ない低感度で、スローシンクロ撮影が楽しめます。 スローシャッターが使えるので、背景の明るさも確保できます。(三脚は必須ですよ(^^;)
あとがき F10はベテランの領域であった、擬似スローシンクロが、誰にでも利用できるように設計されているわけです。 是非、活用して下さい。室内の手持ち撮影において、高感度がいかに有効かは作例が示すとおりです。 スローシンクロ撮影では、調光補正(=ストロボの発光量を撮影者が調整する)があれば、さらに、自然な 雰囲気の撮影に近づきます。残念ながら、F10にこの機能がないのが惜しまれるところです。 室内の明るさにもよりますが、今回の作例では綺麗に撮りたいなら感度がISO400以上が必要なのが認識 していただけると思います。コンパクトデジタルカメラのほとんどが ISO400ではノイズだらけなのに、 画素密度競争に明け暮れる技術者の「センス」に疑いを感じざるを得ません。
補 足 背景と被写体の距離が近い状態、すなわち、背景と被写体全体が平面的な場合は、スローシンクロ撮影で なくても綺麗に撮れます。画面全体に、均一にストロボ光が当たるので、背景が暗くなる事が無いからです。 背景を選ぶなど、撮影状況を工夫するのも大切です。